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【小学校低学年】読書感想文の書き方や構成、親のサポート方法とは?<後編>

この記事を書いた人

yurinako yurinako

yurinako

  • 司書教諭
  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭
  • 子育て支援員

小2と年長の娘のママ。

小学校教員として15年間勤め、小学1年生から6年生までの担任を経験し、

のべ1500人以上の子どもたちを指導してきました。

小学校教諭、幼稚園教諭、司書教諭、子育て支援員の資格を持っています。

親子で一緒に、本やダンス・料理を楽しんでいます!

夏休み真っ最中。お子さんの宿題は進んでいるでしょうか。

計算ドリルやカタカナプリントなら、やり方がわかりやすいので、自分で進められるお子さんが多いでしょう。

しかし、読書感想文となると、「どうやってやるのー?」「わかんない…」「・・・。(こっそり片付ける)」という子もいますよね。

前回は、【前編】として、読書感想文が書きやすい本の選び方をご紹介しました。

【後半】にあたる今回は、元小学校教員である筆者が、低学年のお子さんにおすすめしたい読書感想文の書き方をご紹介します。

まだまだ、一人で文章書くのは難しい1,2年生ですから、親のサポートは必須です。

基本的な書き方のてじゅんから、親はどんなサポートやアドバイスをしたらいいのか、どんな声掛けをするとお子さんの考えや言葉を引き出せるのかまで、具体的にお伝えします。

 

目次

1.【書き方①|本を読む】感想文を書くことを意識しながら

 

まずは、選んだ本を読むところから始めましょう。

とばし読みをする癖のあるお子さんは、読書感想文を書くことを意識しながら読むことをおすすめします。パラパラとめくるだけ、挿絵を見るだけではなく、文章までしっかりと読むみましょう。

 

1-1.絵本なら、声に出して読もう

絵本なら、単行本と比べて文章量は少なめです。

文だけではなく挿絵をヒントにしながら、お話の内容を理解できます。

文章を読むことに慣れていないお子さんは、声に出して読んでみましょう。いわゆる、「音読」です。

文字だけでは理解できなかった言葉も、音声にすることで理解できることが多いのです

絵本は基本的に、ひらがなで書かれています。そして、文節の区切りは1文字分のスペースが空いており、子どもたちが読みやすいように工夫されています。

それでも、子どもたちにとっては、名詞なのか助詞なのか見分けがつかず、読みにくいことがあります。

例えば、2つの読み方ができる「は」「へ」が入った文です。

「ワニは速く逃げた」という文をひらがなにすると、「わにははやくにげた」となります。“はは”と同じ文字が続いていると、“ワニは(わ)”とは読みにくいです。

そんなとき、声を出して読んでみると、“ワニ”“はやく”“にげた”という単語に分かれることに気づき、意味も理解しやすくなります。

まだ、1文字ずつ読むことで精一杯のお子さんには、おうちの方が読み聞かせをしてもOKです。

1回目は読み聞かせで楽しむ、2回目はお子さんが読めない言葉だけサポートする、3回目は自分で読む、など段階を踏んで読んでいきましょう。

 

1-2.心が動いたところに付箋を貼りながら読むと、内容を忘れない

読書感想文には、本を読んで自分が思ったこと・考えたことを書きます。

そのためには、どのページのどんな表現を読んで驚いたのか、どのセリフに感動したのかを覚えておくことが大切です。特にページ数の多い本だと「あれ?あのセリフどこに書いてあったんだっけ?」と探すだけでも一苦労してしまいます。

そこで、心が動いたページを記録するために、付箋を使う方法をおすすめします。

本を読み始める前に、細長いふせんにマークを描いておきます。

びっくりしたことには“!”マーク、うれしい気持ちやほっとしたことには“♡”(ハート)マーク、「なんで?」と思ったところには“?”マークの付箋を貼るようにし、読みながら貼っていくのです。

そうすると、読書感想文を書くときには、付箋の貼ったところを中心に読み返していけばよく、考えを整理するのもスムーズになるでしょう。

 

2.【書き方➁|材料集め】お子さんに合った方法でアウトプットを

読み終わったからといって、いきなり作文用紙に書き始めるのはご法度です。

どんなことを書くのか、ピックアップしていきましょう。

実はこの「材料集め」は、小学生が読書感想文を書く上で最も大切といっても過言ではないステップです

ただ、お子さん一人ではなかなか難しいのも事実。そこで、お家の方がお子さんの言葉をうまく引き出す方法もご紹介します。

 

2-1.「選んだ理由」「登場人物・あらすじ」「自分の考え」の3つをおさえよう

読書感想文の3つの柱は、以下のとおりです。

はじめ=「その本を選んだ理由」
なか①=「登場人物・あらすじ」
なか②=「自分が考えたこと」(感想文のメインはここ!)

この3つについて、文章に書くための材料を集めていきましょう。

自分で書き出すことのできるお子さんは、国語のノートやメモに、箇条書きや単語で書き出してみましょう。

とはいえ、低学年にはなかなかハードルが高く、一人では難しいというお子さんも多いですよね。そのような場合は、お家の方のサポートでクリアにしていきましょう。

 

2-2.本についておしゃべりしながら、親は子どもの言葉を引き出すべし!

「○○と△△が出てくるお話!」「ころんじゃったところが、かわいそうだった」とお子さんの言葉を引き出すことが大切です。

そのために、親子でのおしゃべりを工夫してみましょう。

どんどんしゃべってくれるお子さんなら、お子さんのペースで話をさせてアウトプットさせましょう。

「おもしろかった」「まあまあ」と具体的な言葉がなかなか出てこない場合は、お家の方が質問をしてみてください。どんな質問が効果的か、具体的にご紹介します。

①「その本を選んだ理由」を引き出したいとき
「どうしてその本にしようと思ったの?」

②「登場人物・あらすじ」を引き出したいとき
「誰が出てくるお話なの?」「その中で、主役はどの子?」「主役のさとるくんは、どんな男の子なの?」「自分とさとるくんの似ているところはある?」 「さとるくんに何が起こったの?」「どうしてそんなことが起きたの?」

③「自分が考えたこと」を引き出したいとき
「びっくりしたのはどこ?」「なんで?と思ったところはある?」「どんな気持ちになった?」「そんなとき、自分だったらなんて言うと思う?」 「さとるくんみたいな気持ちになるような出来事はあった?」

お子さんの答えに対して、「なるほど!そうなんだ」「それでどうなったの?」と掘り下げるようにしていくと、さらに深い内容が聞き出せるかもしれません

 

2-3.お子さんから出てきたキーワードを付箋に書いておこう

お子さんから引き出した内容は、キーワードにして書き出しましょう。

お子さんとの会話を全て残そうとすると、大変な量のメモになってしまいます。忘れないためのメモなので、キーワードで十分です。

例えば「ぐりとぐら」の絵本なら、こんなキーワードが考えられます。

「小さい時から好きだから」
「絵がかわいい」
「のねずみの ぐりとぐら」
「おおきなたまご」
「びっくり:大きいカステラ」
「自分ならオムライス作りたい」

また、付箋に書いておくと自在に入れ替えができるので、どんな順番で感想文に書くかを決めるときにも便利です。

 

3.【書き方③|構成・下書き】大人と一緒に進められると、お子さんは安心

『構成』というと難しい感じがしますよね。

お子さんには「どんなことを、どんな順番で書くか決めるんだよ」と伝えてあげると分かりやすいです。

低学年だと、まだ作文を書くことにも慣れていないお子さんが多いですから、お家の方が一緒にやってくれるとお子さんは安心して取り組めるでしょう。

「困った!」「分かんない…」というときに、すぐ聞いて解決できるのが安心につながります

 

3-1.「はじめ」「なか」「おわり」のお手本を一度読ませるとイメージしやすい

2年生の国語では、作文の学習で「はじめ」「なか」「おわり」の構成を学習します。

読書感想文では、次のような構成が一般的です。

「はじめ」=その本を選んだ理由(2~3行でOK)

「なか①」=登場人物の紹介、おおまかなあらすじ(文章全体の1/3程度におさえる)

「なか②」=本を読んで思ったこと・感じたこと・自分だったら…
・自分の体験(ここがメイン!文章全体の半分以上を使って良い

「おわり」=これからの自分に活かしたいこと、どんな人に読んでほしい

これを口頭で説明するのは、なかなか至難の業です。

読書感想文のお手本を見せてみると、理解が早いでしょう。夏休みの宿題ドリルに入っているお手本シートなら、お子さんの学年に合ったものが掲載されていますよ。

コンクールの過去の受賞作品を読んでみるのもよいでしょう。
>>青少年読書感想文コンクール公式サイト

 

3-2.付箋やメモを見ながら、どの順番で書くか決める

書く順番を決めるには、付箋を使うのが便利です。

アウトプットの段階で付箋にメモをしているなら、それを入れ替えるだけで完成します。

「子どもに全て任せるのは不安…」ということでしたら、順番を決めるサポートだけしてあげましょう。

「最初は、その本を選んだ理由だよ。理由が書いてある付箋はどれ?」と誘導しながら、お子さんが決められるようにしていきましょう。

 

3-3.必要に応じて、親が手伝って書き言葉にしていく

低学年だと、おしゃべりは流暢なのに文を書くことは難しいというお子さんが多くいます。

語彙はたくさんあり、話し言葉が上達していても、まだ書き言葉に慣れていないのかもしれません。

具体的には、「私は、~と思いました」のような主語と述語の関係、「~です」「~ます」という文体などにすることは難しいです。 そのような場合は、書き言葉にする作業をお家の方が手伝ってあげましょう

「おおきなたまごのとこ、びっくりした!」とお子さんが話したなら、お家の方が「わたしは、おおきなたまごがでてきたところをよんでびっくりしました。」と書き言葉に変換してあげます。

そして、お家の方が「わたしは、」「おおきな」「たまごが」と短く区切って伝えてあげて、お子さんが書けるようにしましょう。

聞き取って書くことが難しいお子さんなら、お家の方が書いた文を書き写す形でも良いでしょう。

 

4.【書き方➃|清書】感想文を書き写すにも一工夫を

下書きが終われば、最後は清書です。完成まで、もう一息ですね!

低学年では「下書き」「清書」という言葉を知らないお子さんも多いです。小学校では、下書きのことを「練習」「リハーサル」、清書のことを「本番」と呼ぶことがあります。

また、清書をすることを知らなくて、下書きができたところで「終わったー!」とぬか喜びしてしまう子もいます。

「下書き→清書」という流れをあらかじめ確認しておくと、お子さんも見通しをもって取り組めます

 

4-1.下書きを見ながら、原稿用紙に清書する

清書をするときは、下書きを見ながら、丁寧な字で書いていきます。

誰かに読んでもらうものを書くときには、正しく伝えるため、そして敬意を示すためにも丁寧な字で書くことを、小さい頃から習慣づけていきましょう。

【清書の時に気をつけること】
・タイトルは1行目、自分の名前は2行目、本文は3行目から書く
・段落の最初は1文字空ける
・習った漢字は、ひらがなでなく漢字を使って書く

 

4-2.どこを書き写しているかわからなくならないように

清書していると、どこを書き写しているかわからなくなってしまうことがあります。

そんなときは、書き終わった行は隠すなどして数行ずつ見えるようにするとやりやすいですよ。

書く量が多いので、お子さんによってはかなり疲れてしまうことがあります。清書を2日間に分けるなどして、お子さんのペースに合わせてあげましょう。

 

5.読書感想文Q&A こんなときはどうしたらいい?

お子さんによって、本を読んだ後の感じ方は大きく異なります。サポートする側には想像もつかない答えが返ってくることもありますよね。

お子さんの言葉を引き出そうとしても、なかなか狙った答えが返ってこないときはどうしたらよいか、見ていきましょう。

 

5-1.「楽しかった」「面白かった」しか感想が出てこない

本を読んだ後「どうだった?」と聞くと、「楽しかった」「面白かった」という返事になりがちです。そんなときは、質問の仕方を変えてみましょう。

これは、「どうだった?」という質問にはどんな答えでもアリだからです。

「どの場面がおもしろかった?」と聞くと「○○を見つけたところ」など、答えが絞られます

また、低学年のお子さんには、登場人物と自分を重ねて考えるのがおすすめです。「自分がさとるくんだったらどんな気持ち?」「自分だったら、この後どうする?」などと質問してみましょう

 

5-2.読み終わってから、「つまんなかった!」「何も書くことがない」と言いだす

せっかく読み終わったのに「何も書くことがない」と言われてしまうと、親もどうしたらいいのか困りますよね。

そんなお子さんはもしかしたら、読書感想文にどんなことを書けばいいのか知らない可能性があります。

読書感想文とはどんなものなのか、例を読ませてみてはいかがでしょうか

また、読み終わった後の感覚として、お笑い番組を見た後のようなおもしろさをイメージしていた可能性もあります。「おもしろい」にも「笑える」「興味深い」「不思議」など様々なニュアンスがあることをまだ知らないのかもしれません。

「わっはっは」と笑える本を探すのではなく、「その気持ちわかる!」「へえ、知らなかった!」「ぼくだったら~するのに」と思えるポイントを探すように声をかけてみましょう

もう一度本を選びなおす場合も、また同じ感想にならないよう、この2つのポイントを押さえておくことをおすすめします。

 

5-3.どんなタイトルをつけたらいいか、わからない

たった1行ですが、案外悩んでしまうのがタイトルですよね。

「『ぐりとぐら』を読んで」のように、読んだ本の題名をそのまま入れるという方法もありますが、ちょっと面白みに欠ける印象があります。

また、本の題名を使わずにタイトルをつけるように指示される学校もあるようです。

タイトルをつける上で大切なことは、「読み手の興味を惹くこと」です。

ただ、低学年のお子さんは、まだそこまで考えられる発達段階ではないため、「こんなふうにつけるものなんだよ」と指南してあげましょう。

タイトルは、文章を書き終わった後、一番最後につけることをおすすめします

読書感想文の中で、最もインパクトのあった部分、お子さんにとって最も思い入れのある部分をタイトルにすると良いでしょう

例えば、「ぐりとぐら」の絵本を読んだ後の読書感想文なら、以下のようなタイトルが想定できます。

「おおきなたまごで なにつくる?」
「みんなで食べるとおいしいね」
「わたしのオムライス」

本を読んで印象深かった1場面をピックアップしたり、自分の体験に関することをタイトルにしたりすると、「どんな本のことなんだろう?」「オムライス食べたのかな?」と読み手の興味を惹くことができますね。

 

6.読書感想文を、本を読んで考えを深める経験の第一歩に

低学年のお子さんにとって、読書感想文はハードルの高い宿題ですよね。

しかし、お家の方と一緒なら、お子さんも安心して取り組めるのではないでしょうか。

まずは感想文の書き方のステップを理解し、それぞれの段階で適切なサポートをしてあげましょう。

「本を読んで考えを深める」という経験の第一歩となる読書感想文

お子さんの思いや言葉をうまく引き出しながら、サポートしていきましょう。

 

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