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5.6歳|「どうせできないから…」ネガティブ思考なのはなぜ?理由と対応例を紹介

この記事を書いた人

中川さくら 中川さくら

中川さくら

  • 保育士
  • 児童指導員

学生時代に障害児福祉を学び、小学校の特別支援教育支援員や療育施設の保育士、学童保育、小学校などで、子どもたちやそのご家族と関わる仕事を約10年ほど経験しました。

今は、保育園に通う1歳の息子がいます。

昔バックパッカーだったので、いつか家族で世界を旅することが夢です。


「どうせできないから…」「どうせぼくなんて…」

こんなふうにネガティブな言葉をよく使う、ネガティブ思考になりやすいお子さんへの対応に悩んでいませんか?

CONOBASにも6歳のお子さんのママから、このようなお悩みをお寄せいただきました。

 

「どうせできないんでしょ!」ネガティブな言葉ばかり言うけれど…

6歳男の子 ママからのご相談

中間反抗期なのか、こちらが声掛けするとすぐ怒ったり癇癪を起こしたり、

「どうせできないんでしょ!」「これはだめなんだよね?」

など、こちらが応える前に、自分から否定的な言葉を言うことが増えました。

今まではあまり癇癪はなく、気持ちの切り替えも早かったのですが、家だけでなく、園行事で私が一緒にいると周りの子が「どうしたの?」というくらい泣き叫んで、希望が通らないことを怒って気持ちがおさまりません
園の先生には順調な成長ですよと言われるのですが、毎日のことなので何かいい方法がないかと思ってご相談させていただきました。

同じような悩みを持つママやパパの中には、「どうしてこんなに否定的に考えてしまうのだろう」「もっとポジティブに考えられる子になってほしいのに…」と、不安に感じている人もいるでしょう。

実は、5〜6歳頃のお子さんは成長段階として、ネガティブになりやすい時期でもあります。

今回は、ネガティブ思考になりやすいお子さんの気持ちを受け止めながら、お子さんとママ、パパの気持ちが楽になれる関わり方を、一緒に考えていきましょう。

 

目次

 

1.子どもがネガティブな言葉を言うのはなぜか


子どもの口から否定的な言葉を聞くと、「そんなことを考えているの?」と、大人は不安になるかもしれません。
まずはネガティブ思考の背景にある発達段階などから、お子さんの気持ちを読み解いていきましょう。

 

1-1.そもそもネガティブ思考は悪いこと?

心理カウンセラーの加藤隆行さんは、著書『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと』の中で、ネガティブな気持ちを「自分を守ってくれる『防衛隊』のようなもの」とし、

自分が困ったり危機的状況に陥ったりすると、不安や怒りの感情が湧いてきます。
つまり、ネガティブな感情とは『自分が危険な状態の時に出てきて、自分の命を守ろうとするもの』
方向が違うだけで、ネガティブな感情もポジティブな感情も、自分の命を生かそうとするエネルギー

と述べています。
このように、まずはネガティブな気持ちは悪いものではなく「あっていい」と思うことが、ありのままの自分を否定しない、自己肯定感を育てる土台にもなっていきます。
 

1-2.競争意識と集団生活での相対的な評価

5~6歳のお子さんは、幼稚園や保育園などの集団生活の中で、人と比べたり、比べられたりすることが一層増える年頃です。
「勝ち負け」を意識した遊びが増えて競争意識が芽生えたり、「うまい・へた」がわかるようになって、周囲からの相対的な評価にさらされる機会が増えたりします。
大人からの言葉も影響しやすい時期でもあり、先生から指示されたことや直されたことを「自分はダメだったんだ…」とネガティブに受け取ってしまうことがあります。

また、「社会性や思考力が急激に発達する時期」と言われ、これによってネガティブな発言をすることが増える可能性もあります。

社会性の発達によりお友だちとの関わりが深まり、協力して遊んだり物を作ったりするようになりますが、その分集団の中で「あの子はできるのに…」「ぼくの方がへた…」など、周囲と比較することが出てきます。
その結果、「あの子よりうまくできないからやりたくない」「自分にはできない」というネガティブな気持ちが芽生えるのです。

その他にも、思考力や言語力が一段と発達する時期でもあり、自分の感情を表現する言葉が増えていきます。ネガティブな感情が「否定的な言葉」となって表現することが以前よりも増えるため、「ネガティブ思考になった」と感じることがあるでしょう。

大人から見ると心配になってしまうネガティブな言葉の背景には、このような「急激な発達」があると考えられます。

 

1-3.もともと持っている気質

もともとお子さんが持っている気質が、ネガティブ思考と関係していることもあります。

たとえば、

  • 「うまくできないかもしれない」と先回りして不安になりやすい子
  • 完璧主義でうまくできない自分を受け入れにくい子
  • 自分が傷つかないよう予防するために、「どうせできないし」「ぼくなんてダメだから…」と、ネガティブな言葉を使いやすい子

などです。

このような気質自体は変えられませんが、見方や関わり方を変えれば、長所や強みにもなります。
こだわりの強さや完璧主義は、物事への集中力や忍耐力、最後までやりきる力とも言い換えられますし、傷つきやすい繊細な人は、人への優しさや気遣い、慎重で物事への丁寧さを持っているでしょう。

それぞれのお子さんだけが持つ素敵な個性を大切にしながら、本人が少しでも過ごしやすくなれると良いですね。
おすすめの関わり方をこのあとご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

1-4.大人からの過度な「先回り」

大人が「危ないからやめなさい」や「手伝ってあげるね」と先回りして、過度に声をかけたり手を貸したりすることも、子どものネガティブ思考と繋がる可能性があります。

なぜなら、過度な手出しや口出しによって「自分にはできないんだ」「信じてもらえない」と自信を無くしたり、「自分にもこんなことができる!」という自尊感情が育ちにくくなったりするケースもあるからです。

たとえば、子どもが工作をする時に、カッターなど大人の手助けが必要な時には、「動かないようにここを支えてくれると助かる」「切るところだけママが手伝うけど、どこまで切ったらいい?」と伝えるなど、あくまで「子どもが主導」だという気持ちを大人側が意識することをおすすめします。

お子さんの安全を守るために、先回りが必要な場面もあります。危険なこと以外は、たとえ失敗しそうでも「これは必要な先回りか?」と意識して見守ってあげられると良いですね。

 

2.【具体例あり】「否定のループ」を断ち切るには?


次に、「どうせ…だって…」のネガティブ思考を繰り返す「否定のループ」から一歩踏み出せる関わり方を、具体例と共にご紹介します。

 

2-1.「そんなことないよ」は逆効果?比較しやすい子の場合

「どうせできないから…」とネガティブな言葉を言ったお子さんへ、励ますつもりで「そんなことないよ、やればできるよ」と声をかけたことはありませんか?筆者自身も良かれと思って、我が子へつい言ってしまうことがあります。
しかし、「そんなことないよ」はお子さんの気持ちを否定してしまうことになり、「気持ちをわかってもらえない」と逆効果になることもあります。
悲しい気持ちも不安もすべて、お子さんが抱く素直な感情自体に「間違っている」ものは無い
ですよね。

気持ちそのものは否定せずに受け止めて、人と比べず自分自身の成長を実感できるようになるといいですね。具体例を1つご紹介します。

Aくん(6歳)は競争心が強く、友だちより少しでも劣っていると感じると、すぐに自信をなくしてしまいます。
友だちが逆上がりを成功させたのを見てから、パパと一緒に公園で鉄棒の練習をしていたけれど、「ぼくはできない」「やるだけムダだ」と座り込んでしまいました。

Aくん「もうやらない! Bくんはできるのに、ぼくだけ全然ダメだもん。ぼくは運動神経が悪いんだ。」
→①他者と比較して自分を否定している

パパ「そっか、Bくんと比べて悲しくなっちゃったんだね。パパもよく分かるな。」
→② 「人と比べなくていいよ」と励ます前に「比べて悲しい」という比較による辛さに共感する

パパ「パパはAくんがすごいと思ってる別のことがあるよ。1週間前は鉄棒の前に立つのも「怖い」って、全然できなかったんだよ。」
→③他者ではなく、過去の「できなかった自分」と、現在の「成長した自分」を比較する

パパ「今は鉄棒にぶら下がって、足も上げられるようになったじゃない。これはAくんが練習を頑張ったからだよ。すごく成長してる!Bくんの練習とは違うんだから、自分のペースでいいんだよ。次は、あと1秒長くぶら下がる挑戦してみない?」
→④他者の課題と分離する。結果(逆上がり)ではなく、練習の「過程」と「努力」、「小さな変化」を具体的に褒める

 

2-2.「うまくできないからやらない!」完璧主義な子の場合

2つめの例は、完璧主義なために「できないことはやりたくない」という子への関わり方の例です。
ポイントは、失敗しても「見られないから大丈夫」と挑戦する安心感を与えること、ハードルを下げて小さな成功体験を積むことです。「完璧でなくても大丈夫」とお子さん自身が思えるよう、日々の経験を重ねていけると良いでしょう。

Cちゃん(5歳)は、絵を描くのが大好きですが、少しでも線が曲がったり色がはみ出したりすると、「もうダメ!やらない!」と紙を破ってしまいます。

Cちゃん「(お友だちに手紙を描いていたところ)ママみたいに描けない!もうやらない!どうせへたくそになるもん!」
→①完璧さを求め、「失敗への恐怖」で諦めてしまう

ママ「そっか、Cちゃんは『お手紙を完璧に書かなくちゃ』って思っていて、失敗するのが嫌なんだね」
→②完璧にしたいというこだわりや不安な気持ちを受け止める

ママ「じゃあ今日はお手紙やめて、代わりにこの切れ端にマルを3つ描いてみるのはどう?もし失敗しても誰も見ないし、この紙はすぐに捨てちゃうから大丈夫」
→③難易度の高い課題(お手紙)からハードルを下げ、失敗しても問題ない「紙の切れ端」と「マル3つ」というスモールステップを提案。完璧主義の子が恐れる「失敗を見られること」がないと安心させる

Cちゃん「じゃあ…。(丸を描く)」
ママ「わあ、3つ描けたね!色の組み合わせが素敵。ママはこの線が少しはみ出ているところも、他にはない個性的な感じですごく好きだよ。」
→④色の組み合わせや挑戦したこと、完璧ではない部分(はみ出し)をポジティブに伝える

 

3.ママ・パパの気持ちを軽くする、心の持ち方・見守り方

親子

3-1.子どものネガティブさは親のせいではない

お子さんがネガティブ思考になっている姿を見て「自分の育て方のせいでは…?」と、自分自身を責めてしまうママやパパもいるかもしれません。
しかし、成長や気質、周囲の環境など、ネガティブになる要因はさまざまで、ご自身を責める必要はありません。

たとえ、今までを振り返り「子ども主導にせず、口うるさく言いすぎてしまったかも」と感じても、大丈夫です。
親も完璧でいる必要はなく、失敗しながら試行錯誤して子育てをしていくからこそ「失敗しても大丈夫なんだ」という姿をお子さんに見せることができます。

大きな怪我や事故でない限り、お子さんにとっても失敗は大切な財産だと捉え、「たいていのことは見守ろう」とおおらかに思えたら良いですね。

 

3-2.否定は「受け止めてほしい」メッセージ

ネガティブな気持ちや言葉の裏には、少し違う本音が隠れていることがあります。

たとえば「どうせできない」は、「失敗したくない」「期待に応えたい」という「失敗への恐怖」から生まれた言葉であったり、大好きなママやパパの愛情を確認するための言葉であったりします。
お子さんのネガティブな言葉を、そのまま言葉通りの意味ではなく「気持ちの表現の1つ」と捉え方を変える視点を持ってみると、受け止め方が変わってくるかもしれません。

裏を返せば「一番安心できるママに、ありのままの自分を受け止めてほしい」「こんなぼくでも嫌いにならないでくれるかな」と安心感をもらいたくて甘えている、とも言えます。
ネガティブな言葉が出てきた時には、頭の中で「甘えたい、愛してくれているか確認したい、というメッセージね」と捉え直してみてください。

しかし、お子さんをまるごと受け止めて目一杯の愛情を注ぐためには、ママやパパの心が満たされていないと難しいことが多いです。
リフレッシュができるよう周囲の力を借りたり、園の先生や支援センター等の第三者に頼ったりしながら、1人で抱え込まないようにしてくださいね。

 

4.ネガティブさもひっくるめて、あなたが大切だよと伝えよう

だっこ

今回は、ネガティブ思考な子の要因と対応について解説しました。
大変な時期ではありますが、今のネガティブな言葉や思考は、子どもの成長過程としては自然なことでもあり、関わり方を意識すれば、また一歩前向きに成長していくことでしょう。

ネガティブな言葉はついこちらも不安になってしまいがちですが、「親が自分を見ていてくれる」「ネガティブでも受け入れてくれる」と思えるだけでも、子どもは自信を持てるようになります。表面的な言葉に振り回されず、温かく見守っていきたいですね。

 

参考文献
・「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと/名越 康文 (監修), 加藤 隆行 (著)/小学館クリエイティブ(小学館)

 

 

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