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【3歳】発達障がい・グレーゾーンとは?子どもの特徴と困りごとへの接し方

この記事を書いた人

たなかれいこ たなかれいこ

たなかれいこ

  • 心理カウンセラー
  • ペアレントトレーナー
  • カラーセラピスト
  • 保育士

子どもと関わる仕事がしたいと、保育士資格を取得しました。

障害児者福祉に5年ほど関わる中で、保護者さんの大変さを実感し、現在はペアレントトレーニングをはじめとする子育て支援の事業を行っています。

プライベートでは小2の娘と暮らすシングルマザーです。

娘と一緒にいろいろな体験やお出かけをするのが楽しみです。

子育てする中で、お子さんの成長や発達に関する疑問はたくさんありますよね。

特に幼稚園や保育園に通い始める3歳頃になると、他のお子さんを見る機会も多くなって知らず知らずのうちに比べてしまい焦ることもあるかと思います。

発達障がいやグレーゾーンという言葉が広く知られるようになり、「うちの子はもしかして発達障がい?グレーゾーン?」と不安になる方もおられるのではないでしょうか。

この記事では、「発達障がい」「グレーゾーン」を分かりやすく説明します。

また、3歳頃の子どもが発達障がいのグレーゾーンである場合に見られる特徴や困り事、適切な接し方について解説します。

 

目次

 

 

1.発達障がいとグレーゾーンの違いって?

「発達障がい」や「グレーゾーン」という言葉は聞いたことがあるけれど、それらの意味や違いについてよくわからないという方も多いかと思います。

「発達障がいとグレーゾーンって何が違うの?」「グレーゾーンって診断されるものなの?」「グレーゾーンが診断名なの?」そんな疑問にお答えします。

 

1-1.発達障がいとは

自閉スペクトラム症(ASD)、 注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習障がい(SLD)、協調運動症、チック症、吃音などの疾患をまとめて「発達障がい」と呼びます。

また、2004年12月に公布された発達障がい者支援法では、発達障がいは「脳機能の障がいであってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

発達障がいの原因は現時点では特定されていません。

分かっているのは、生まれつき脳機能に偏りがあることによってさまざまな特性が現れるとされていることです。

ここでは発達障がいに含まれる主要な3つの障がい「自閉スペクトラム症(ASD)」「 注意欠如多動症(ADHD)」「限局性学習障がい(SLD)」について解説します。

 

 

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)は、「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」などと呼ばれていましたが、現在は「自閉スペクトラム症(ASD)」として統一されています。

コミュニケーションや社会的交流、そして興味や行動の偏りに困難を抱える発達障がいで、知的障がいを伴う場合もあります。

ASDの具体的な特徴は、相手の気持ちや意図を読み取ることが難しかったり、適切な表情や声のトーンで話せなかったり、話が長かったりすることがあります。

特定のことに強い興味や関心がある・こだわりが強い・変化を嫌がる・見通しが立たないと不安などの特徴を示す子もいるでしょう。

音や光、触覚などに対する感受性が人より強かったり弱かったりする感覚過敏・鈍感があることもあります。

様々な特徴をあげましたが、人によって程度や組み合わせが異なります。

そのため、「連続体」という意味合いのある「スペクトラム」を用いて自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)と呼ばれています。

 

注意欠如多動症(ADHD)

注意欠如多動症(ADHD)は、以前は「注意欠陥多動性障がい(AD/HD)」と呼ばれていましたが、現在は「注意欠如多動症(ADHD)」として統一されています。

不注意・多動性・衝動性の3つの特徴を持つ発達障がいで、知的障がいを伴う場合もあります。

不注意の特徴には、集中力が続かない・物をなくしやすいなどがあります。

多動性・衝動性の特徴には、落ち着きがない・じっとしていられない・行動が先走ってしまうなどが挙げられます。

不注意さや落ち着きのなさ、考えずに行動に移すという特性のため、日常生活や学校生活、コミュニケーションに難しさを感じることがあるのです。

 

限局性学習症(SLD)

以前は学習障がい(LD)と呼ばれていましたが、現在は「限局性学習症(SLD)」として統一されています。

限局性学習症(SLD)は、特定の学習において困難を抱える発達障がいで、知能に遅れがないことが特徴となります。

文字の読み書きや計算が困難で、誤読や綴りの難しさ、計算間違いが見られます。文字や数字を本格的に習い始める小学生以降になって初めて発見されることが多いです。

SLD(学習障がい)の代表的なものは3つで、

・文字を読むことに困難を抱える「読字障がい(ディスレクシア)」
・文字を書くことや文字の形や大きさを正しく書くことに困難を抱える「書字障がい(ディスグラフィア)」
・数字や計算に関する困難を抱える「算数障がい(ディスカルキュリア)」

があります。

参考文献
・American Psychiatric Association,『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』,医学書院,2023年6月19日
※各障がいの診断名は精神科医の松崎朝樹さん「DSM-5-TR 神経発達症群の変更点」の解説を参考にさせていただいております。

 

1-2.グレーゾーンとは

発達障がいのグレーゾーンという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

「グレーゾーン」とは医学的な診断名ではありません。

グレーゾーンは「保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診の子ども」のことを言います。(DSM-5の改訂とグレーゾーンの子ども達の支援より

発達障がいの診断は様々な検査やカウンセリングなどを参考にし、いくつかの要件を満たしたときに限り医師から発達障がいと診断されます。

グレーゾーンの子どもは、発達障がいと診断されていないとはいえ何かしら特性や症状があり、それゆえの困りごとがある状態です。

ですので、それぞれの子どもに対して適切な対応が必要になる場合もあります。

 

2.【3歳】発達障がいのグレーゾーンの子どもに見られる特徴・チェックリスト

発達障がいのグレーゾーンは、正式な診断名ではないため「グレーゾーン特有の特徴」というものはありません。

ここでは3歳頃の子どもに見られる発達障がいの特徴や症状を把握するためのチェックリストを示します。

これらのチェックテストはあくまでも目安です。当てはまるからといって、発達障がいやグレーゾーンであるとは限りません。

 

2-1.ASDのチェックリスト

言語の遅れやコミュニケーションの困難、特定の興味や行動パターンへのこだわりなどが主な特徴です。

□目を合わせることが難しい
□言葉の発達に遅れが見られる
□特定の興味や活動に強い関心がある
□反復行動やこだわりが見られる
□特定の音や触覚などに過敏な反応を示す
□ルーチンや予測可能性を重視し、変化に対する適応が難しい
□意図せずに起こる変化に対して不安やストレスを感じる

 

2-2.ADHDのチェックリスト

注意力の欠如、多動性、衝動性などが特徴です。

□集中力が続かない
□よく物をなくす
□指示を理解するのが苦手
□落ち着きがなく、じっとしていられない
□よく動き回る
□行動が先走ってしまう
□順番を待てない

 

2-3.SLDのチェックリスト

学習障がいは、本格的な学習が始まる小学生以降に初めて気づくことが多いです。

□文字を読むことに関心がない
□単語の発音を正確に言えないことがある
□自分の名前や、言葉を言いながら、1音1歩ずつ移動する、あるいはコマを動かす遊びができない(例:“ぐりこ”の遊びなど)
□歌の歌詞を覚えることに苦労する(歌詞を理解する/しないに関わらず)
□文字や文字らしきものを書きたがらない、書くことに関心がない

参考文献
吃音、チック症、読み書き障害、不器用 の特性に気づく「チェックリスト」活用マニュアル

 

3.【3歳】発達障がいのグレーゾーンの特性に見られる困り事と適切な接し方

発達障がいのグレーゾーンの子どもは、発達障がいの診断基準を満たすほどではないものの、発達に凸凹が見られるのは確かです。

そのため、日常生活の中で様々な困り事を感じることがあります。

ここでは、3歳における発達障がいのグレーゾーンの子どもによく見られる4つの困り事や適切な接し方を紹介します。

 

3-1.感情のコントロールが苦手・癇癪やパニックを起こす

発達障がいのグレーゾーンの子どもは、自分の思い通りにならないと怒ったり癇癪を起こしたりすることがあります。

その時に周りの大人が怒ったり叱ったりすることは効果はなく、逆に子どもの癇癪やパニックが悪化する恐れがあります。

まずは子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。

静かな場所に移動し、落ち着いたら話を聞いたり気持ちを代弁して共感を示します。

例えば、「公園でもっと遊びたかった」と癇癪をおこしたときは、「そうだね、もっと遊びたかったね」などと子どもの気持ちに共感を示しましょう。

そして、「また明日来ようね」「お家に帰って、美味しいご飯を食べよう!」などワクワクするような予定を伝えて「遊びたかったけど、他にも楽しいことがある」と感じてもらえるように声掛けをします。

また、事前に工夫をすることで癇癪やパニックが起こらないようすることもできます。

具体的には、子どもに見通しを持たせるためにあらかじめ子どもに説明をする、パニックを起こす原因から遠ざけるなどです。

買い物へ行くといつもお菓子を買ってと駄々をこねる子には、お店に入る前に「今日はお菓子を買いません」「今日はひとつだけお菓子を買います」と子どもに分かりやすいように伝えましょう。

お菓子売り場を避けて通ることで、子どもの注意がお菓子に行かないようにする方法もあります。

それでも癇癪やパニックが起きてしまったときに、子どもの気持ちを落ち着かせられるようなアイテムなどを用意しておきましょう。

本人が好きなものや、これをすれば落ち着くというものを普段から観察して知っておくといいですね。

筆者が勤務していた療育施設では、気に入らないと癇癪を起こす子がいました。その子は歌が好きなので歌を口ずさむとすぐにご機嫌になります。

しばらく歌って気持ちが落ち着いてから活動に参加するかを聞くと、返事をしてくれて活動に参加できました。

他にも、普段から感情を表現する方法や適切な対処法を絵本などを用いて伝えることで、感情のコントロールの仕方を学んで行くことができます。

 

3-2.落ち着きがない・じっとしていられない

ADHDの傾向のある子どもはじっと座っていることが苦手で、すぐに立ち歩いたり走り回ったりして集中力が続かないことがあります。

幼少期はどうしても衝動で行動してしまいます。

特に外出時は危険につながることも多いため、子ども用のハーネスを付けることも有効です。

ハーネスを嫌がるときは、外では手をつなぐ事を伝えましょう。

外出前はもちろん、途中の道のりでも手をつなぐ絵カードを見せたり、「手をつなごうね」と声をかけたりしましょう。

子どもの興味を引く遊びや活動を通じて、集中力を養うこともできます。

はじめは短い時間から徐々に長くしていき、できたときはご褒美やたくさん褒めてあげます。

このとき、タイマーを利用すると効果的です。

具体的には、出来るだけ気が散らないような環境で机の上には好きなおもちゃや本を用意します。

まずは2分座っていられたらご褒美におやつやシールなどをあげます。

2分でも長ければ、30秒でも1分でも大丈夫です。そこから徐々に時間を伸ばしていきましょう。

また、公園で遊んだり、室内で体を動かせる遊具を用意したりするなど、体を動かす機会を増やしましょう。

運動することでADHDの多動性・衝動性や集団生活でルールを守ったり人間関係のトラブルが減ったりするなどの日常生活での困難さなどの症状が、以前よりも改善している可能性があることがいくつかの論文でも示されています。

 

3-3.こだわりがつよい・マイルールがある

発達障がいのグレーゾーンの子どもは、強いこだわりがあったり、変化を嫌ったり、独自のルールやルーティンを好んだりする傾向があります。

そのため、自分の思い通りにならないと、怒ったり、癇癪を起こしたりすることも多いでしょう。

まずは、子どものこだわりやルールに理解を示しましょう。

子どもにとって「こだわり・マイルール」は気持ちを安定させる手段であることが多いからです。

また、いつもと違った状況だと見通しを立てることができずに不安になってしまう子もいます。

子どものこだわりを否定せず、尊重することが大切です。

しかし、時にはそのこだわりで大人が困ってしまうこともあります。

こだわりをいきなり崩そうとすると、子どもが抵抗し、かえってこだわりが強くなってしまうことがあります。そのため、少しずつ変化を促していくことが大切です。

例えば、クマのぬいぐるみが大好きな子がいます。いつも肌身離さず持っているのですが、来年から幼稚園へ入園です。しかし、幼稚園にはぬいぐるみを持っていくことはできません。

この場合、ぬいぐるみがなくても大丈夫な状態に持っていくのが理想です。

子どもと相談しながら

1.3分カバンの中に入れておく
2.5分カバンの中に入れておく
3.お散歩のときは家に置いておく

など、少しづつ離れている時間を長く、離れている距離を遠くにして慣れさせていきます。

出来たときは、「くまさんと会えたね、よかったね」などと声をかけてあげましょう。

また、こだわりに代わるものを提案するのも良いでしょう。出来れば2つほど代替案を出して選んでもらうのが良いですね。

このように、少しずつ自分の気持ちや周りの出来事に対して折り合いをつける練習ができます。

 

3-4.切り替えができない

切り替えが難しい子どもにとって、急な予定変更や突然の中断がストレスを引き起こすことがあります。

そのため、事前に予定を伝えることが大切です。

筆者が勤務していた療育施設では、ホワイトボードに1日の活動の流れをイラストなどを用いて掲示しています。

同時に、始めの会で活動の流れを伝えることで見通しが立てられるように工夫していました。

また、タイマーやシグナルを利用することも効果的です。タイマーを使って、活動の終了時間を示すことで、子どもに時間の概念を教えると同時に、次の行動への移行を明確に示します。

例えば、おもちゃで遊んでいる子供に「あと5分で片付けるね」と伝え、タイマーをセットします。

タイマーが鳴ったら、「次はお風呂に入る時間だよ」と伝えることで、子どもは自分の行動を制御しやすくなります。

切り替えが難しい子どもに対するサポートは個々に異なりますので、親や保育士は子供の反応を観察し、最適な方法を見つけるよう努めることが重要です。

切り替えられたときは、しっかりと褒めてあげましょう。

 

4.子どもの特性に合った対応を心がけよう

まわりの子どもと比べると発達の遅れが気になるなど、漠然と悩んでいる方も多いでしょう。

乳幼児期の数カ月は発達がめまぐるしくもあり、また個人差も大きいものです。

同じ3歳でも、3歳1か月と3歳11か月では発達に差があって当然で、中には成長につれ不安が消えていくケースもあります。

そうは言っても、簡単には不安がなくならないという方もおられるでしょう。

ここで紹介した子どもへの接し方は、「発達障がい児・グレーゾーンだから」というものではなく、すべての子どもに有効な接し方です。

子どもの特性を理解して、それに合った接し方ができると困り感も減ってくるのではないでしょうか。

それでも不安であれば、専門家の方に相談してみましょう。

保育園・幼稚園の担任の先生、子育て支援センターの先生、かかりつけの小児科など、ご自身が話しやすいところで相談できます。

お住まいの市町村役所には、子育ての相談に乗ってくれるところもあるかと思います。

おひとりで悩まずに、専門家に相談することで少しでも不安な気持ちが楽になることを願っています。

 

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