【5・6歳】わが子の言い方がきつい!どうすればなおせる?対応のヒントを紹介
この記事を書いた人
狩野淳
- 公認心理師
- 臨床心理士
大学、大学院にて発達心理学と臨床心理学を専攻していました。
臨床心理士と公認心理師の資格を保有しております。
子ども達とその保護者の方の支援を仕事にしており、子ども達へは主に応用行動分析を認知行動療法用いて、保護者の方にはブリーフセラピーを使ったアプローチを行っています。
もうすぐで1歳になる男の子がいて、毎日癒されています!
「我が子の口調が強く、他の子に嫌われていないか心配」
「口調をなおしたいけれど、どう伝えればいいかわからない」
そんなお悩みをお持ちの方へ、子どもの口調が強く、言い方がきつくなってしまう理由とその改善方法について紹介します。
男女の発達の違いや障がいの可能性など、様々な角度から口調の強さについて解説しています。
子どもにわかりやすく伝える際の参考にしてください!
目次
1.【5・6歳】子どもの言い方がきつく強くなる理由
子どもは2~3歳頃には、他者との間に短い会話が成り立つようになり、5歳頃には日常会話が問題なく行えるようになります。
自分の思っていることや感じたことを言葉で表現してくれるので、子どもとのやり取りが楽しくなるのがこの頃です。
一方で、自分の都合や考えを強く主張したり、相手を否定するような言葉を使ったりすることもあり、大人は頭を悩ませる時もあるでしょう。
楽しい会話をすることもできるのに、どうして強い言葉を使ってしまうのでしょうか。
強い言葉を使うときに、子どものなかで何が起こっているのでしょうか。
まずは、子どもの口調が強くなってしまう原因について解説していきます。
1-1.原因1|中間反抗期
人には、大きく分けて2つの反抗期があります。
1つ目は2~3歳頃に訪れる「第一次反抗期」、いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれるものです。
そしてもう1つは、12歳ごろから始まる「第二次反抗期」です。
しかし実は、この間にもう1つ反抗期があり、それが「中間反抗期」と呼ばれるものです。
自分の意見を持つようになり、親の管理下から少しずつ離れようとする心理が働くため、親に対して反抗的な態度を取ったり、それまで使ってこなかった乱暴な言葉や強い口調で親を非難したりします。
精神的に成長している証拠ですが、これまで愛情を注いできたわが子からそんなことを言われては悲しいですよね。ついカッとなってしまう方も少なくないでしょう。
中間反抗期については、下記の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
・無視、口答え…親も子もつらい「中間反抗期」の特徴と対応のコツを紹介
1-2.原因2|周囲からの影響
「周囲からの影響」も、原因の1つに挙げられます。
子どもは、言語獲得の際に周囲からの影響を大きく受けます。
そのため、強い口調や高圧的な態度で話をする人が身近にいれば、子どもはそれが「適切な話し方」であると誤って学習してしまいます。
TV番組から不適切な言動を学習してしまうと言われて久しいですが、現在ではYouTubeも普及しています。
もちろん、教育上プラスに働くチャンネルもありますが、子ども受けするような過激な表現を行うチャンネルも一定数あることは、否めないでしょう。
そのため、メディアがますます子どもに悪影響を与えることが懸念されています。
2.【5・6歳】子どもの口調に男女の違いはある?
言い方がきつくなってしまう要因として、中間反抗期と周囲からの影響を紹介しました。
しかし、考えられる要因はそれだけではありません。
子どもの性別による違いもあると言われています。男女の違いが「きつい言い方」とどのように関係してくるのでしょうか。
2-1.男女の言語発達の違い
5・6歳の男の子は、言葉でのやり取りよりも体を使った遊びを好むため、言語機能よりも運動機能が伸びやすい傾向にあります。
一方で、女の子は室内でごっこ遊びをしたり、おしゃべりをしたりと、社会的な環境で他人とつながることを好む傾向にあります。
そのため、女の子の方が言葉を使ってやり取りをする機会が増え、より洗練された言語機能を獲得していきます。
2-2.男女の脳発達の違い
脳科学においても、脳の発達は男女で異なるとされています。
女性の脳は一般的に男性の脳よりも早く発達し、言語処理に関わる領域がより発達するとされています。
また、男性は言葉を用いる際に脳を部分的に使って処理しているのに対して、女性は脳全体を使って処理することで、より広く言葉を理解することができると言われています。
2-3.女の子の方が言葉を自在に使える
以上のことから、男の子に比べ女の子の方が言語発達が早いことが分かります。
様々な語彙を使うことができるため状況に合った言葉を選択し、円滑にコミュニケーションをとることができると言えるでしょう。
一方で、語彙力が豊富であるがゆえに、時に相手を傷つけるような言葉を使ったり、強い口調で相手をコントロールしたりすることもあります。
もちろん、すべての女の子がそうとは限りません。
また、言語発達が早い男の子もいますが、言語獲得の段階において「男女で違いがある」ということは覚えておいた方がいいでしょう。
3.【5・6歳】言い方がきついわが子への対応方法
言い方がきつくなってしまう原因について紹介してきました。
原因が分かれば、対策を立てることができます。
そこで、それぞれの原因に対しての対応策について紹介していきます。
3-1.対応1|中間反抗期への対応
中間反抗期がゆえにきつい言い方をしている際、決してしてはいけないのは、「頭ごなしに否定する」ことです。
「親に向かってなんて態度だ」「そんなふうに育てたつもりはない」と親御さんがヒートアップしてしまうと、子どもの反抗心もメラメラと燃え上がってしまいます。
冷静に子どもの心を分析し、「どうしてそんなことを言ったのかな?」「この子は何がしたかったのかな?」と背景の気持ちを考えてあげましょう。
「『○○○○』と言われて、すごく悲しかった」と言われた側の気持ちを伝え、「何が言いたかったのか、もう一度教えてくれるかな」と子どもの主張にじっくりと耳を傾ける時間を作りましょう。
問題が解決した後も、意識的に親子の時間を作ることも大切です。
ご両親の仕事が忙しかったり、きょうだいのことで手一杯になっていたりする間、子どもは寂しい思いをしているかもしれません。少しでも、甘えられる時間を作ってあげてください。
3-2.対応2|「やわらかい表現」のある環境作り
子どもの口調が強く、高圧的な態度で話してしまう原因は、子どもを取り巻く環境にあるかもしれません。
もしかすると、親御さん自身が無意識に「違うでしょ!」「だからなんなの!?」といった言葉遣いをしているかもしれません。
たとえ子どもに対して言っていなくても、他の家族や外出先で使ってしまっているかもしれません。
不適切な言葉遣いは意識しなければ気づかず、改善することは一朝一夕では難しいもの。
家族で協力し、互いに「さっきの言い方は、きつかったよ」「別の言い方の方がいいかもね」と伝え合い、修正していくことが大切です。
3-3.対応3|「適切な言葉」を学ぶ
現実のやり取りだけでなく、テレビやYouTubeからも不適切な言葉遣いや表現を学んでしまうことも紹介しました。
しかしだからと言って、テレビやYouTubeを制限したところで子どもの反感を買ったり、隠れて見始めたりするかもしれません。
そこで、どんな話し方や口調が適切なのかを教えていく必要があります。
「あの言い方は、言われた人が嫌な気持ちになるから使わないでね」「○○にはそんな言葉を使ってほしくないな」といったように、「禁止」や「指導」ではなく、「お願い」というスタンスを取ることで、子どもは大人からのメッセージを受け入れやすくなります。
それに加えて、適切な表現をすることができた時には、たくさん褒めてあげるといいですね。
4.言い方がきつい子に、障がいの可能性はある?
最後に、言い方がきつくなってしまう原因として、障がいの可能性について紹介します。
障がいが原因できつい言い方をしてしまう場合、子ども自身でもコントロールできず、つらい思いをしている場合があります。
そのことを知っているだけでも子どもの辛さを軽くすることができるため、ぜひ確認してみてください。
4-1.反抗挑発症が原因の場合も
攻撃的な言動をとってしまう障がいの1つに、「反抗挑発症」があります。
反抗挑発症は、主に子どもに見られる精神障がいの一種で、他者に対して反抗的で挑発的な行動を取り、ルールや大人からの指示に従わないことが特徴です。
些細なことで怒る、自分の間違いを認めない、様々な対人場面でトラブルを起こすなどの問題行為を行ってしまうため、心理療法や薬物療法を用いて治療する必要があります。
子どもの言動に違和感をもち、幼稚園や保育園の先生からも指摘される場合には、児童分野専門の精神科を受診してください。
5.本人を責めず、環境を変えていきましょう
子どもはまだまだ未熟ですので、何が正しくて、何が間違っているのかの判断を間違えてしまうことが多くあります。
その際に、間違えたことだけに注目し、否定しても改善にはつながりません。
それよりも、正しい方向へ導き、子どもが誤学習しない環境を作ってあげることが大切です。
ぜひ、お子さんに伝わりやすいやり方を考え、実行し、親子で一緒に前へ進んでくださいね。
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