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屁理屈ばかりで自己中な子どもにウンザリ…親の適切な対応と声がけのコツ

この記事を書いた人

たなかれいこ たなかれいこ

たなかれいこ

  • 心理カウンセラー
  • ペアレントトレーナー
  • カラーセラピスト
  • 保育士

子どもと関わる仕事がしたいと、保育士資格を取得しました。

障害児者福祉に5年ほど関わる中で、保護者さんの大変さを実感し、現在はペアレントトレーニングをはじめとする子育て支援の事業を行っています。

プライベートでは小2の娘と暮らすシングルマザーです。

娘と一緒にいろいろな体験やお出かけをするのが楽しみです。

「注意すると『ママもやってないじゃん』と口答えをする」

「自分の思い通りにならないと『〇〇ができなかったのはママのせい』と癇癪を起こす」

子どもの屁理屈や口答えに思わずカチンときた経験はありませんか。

子どもは成長とともに自分の意見が言えるようになっていく一方で、自己中心的に見えるわが子の言動にどう対応すればいいのか悩むママやパパも多いことでしょう。

CONOBASのお悩み相談フォームにも、「反抗期なのか甘やかしてるのか、屁理屈や自己中な行動が気になります」というお悩みをお寄せいただきました。

今回は保育士資格を保有し、ペアレントトレーナーとして子育て支援を行なっている、たなかれいこさんにお話を伺いました。

「屁理屈ばかりいう子どもの心理」を深掘りしながら、子どもの自己中心的な言動への適切な対応のコツをお伝えします。

(編集部)
 

 

「屁理屈や自己中な言動が気になる…どのような声かけしたらいいかわからない」

8歳女の子 ママからのご相談

子どもの屁理屈や癇癪に毎日対応するのは大変ですよね。状況によっては、怒りを抑えられず、感情的に叱ってしまうママさんもいるかもしれません。

相談者様は、「(子どもの屁理屈や自己中な行動に対して)成長過程とおおらかにみるのか、注意したほういいのかわかりかねてます」と悩んでいるようです。

子どもの屁理屈には、どのように接するのが適切なのでしょうか。屁理屈をいう子どもの気持ちを読み解きながら、親の適切な対応方法を一緒に考えていきましょう。

 

目次

 

1.子どもが屁理屈をいうのはなぜ?

子どもに屁理屈を言われたり、口答えをされたりするとイライラしてしまいますよね。

相談者様も「反抗期なの?」と感じておられるようですが、小学校低学年頃に見られる「中間反抗期の表れ」と考えられます。

「中間反抗期」とは、幼稚園年長頃から小学生中学年頃に訪れる反抗期のことを言います。

相談者様のお子さんの場合は小学2年生ということで、まさにこの時期に当てはまるのではないでしょうか。

 

1-1.屁理屈は成長の証

「中間反抗期」の特徴の一つに「屁理屈を言ったり、口答えをしたりすること」があります。

子どもの屁理屈や口答えは「困り事」と捉えられがちですが、屁理屈が言えるようになったのは、自分の考えや気持ちを表現する力がついてきた証とも解釈できます。

なぜなら屁理屈や口答えをするには、論理的な思考力や言葉の表現力が欠かせないからです。

スイスの心理学者、ジャン・ピアジェが提唱した「認知発達段階説」によれば、7歳〜11歳は「具体的操作期」と呼ばれ、論理的思考力が発達する時期です。

子どもは小学校に進み、友達や学校の先生との関わりや勉強を通して、たくさんの言葉や表現方法を学んでいきます。

その結果、自分でいろいろと考えられるようになり、自分の思考や気持ちを言葉で表現するようになるのです。

子どもの屁理屈や口答えにうんざりすることもあるでしょう。しかし反抗期は「子どもの立派な成長の証」と見方を変えれば、受け流す余裕が生まれてきませんか。

 

1-2.人のせいにするのは、自分の気持ちがコントロールできないから

ご相談の中に「ゲームで負けたのは叔父のせいなど、人のせいにしたり強くあたるのが気になります」と書かれていました。

お子さんは「ゲームに負けて悔しい。勝ちたかった」という気持ちをどのように発散させればいいのか分からないのではないでしょうか。

そのため、近くにいる叔父さんのせいにして、イライラをぶつけてしまうのでしょう。

怒りという感情は脳の「前頭前野」という部位で処理されます。前頭前野は、脳の中でもゆっくり発達します。小学校低学年のうちは、脳が未発達であるために、感情の制御がうまくできないこともあります。

8歳は、自分の主観から物事を見る「前操作期」から、他者の視点も理解できるようになる「具体的操作期」に移行する時期です。

客観的な視点が育まれていくと、幼児期の思考の特性である「自己中心性(*1)」から抜け出し、少しずつ周りに配慮した振る舞いができるようになっていきますが、発達には個人差があります。

ゲームに負けて悔しい気持ちから周りに強くあたってしまうお子さんには、その都度、気持ちの切り替え方をサポートしていけるといいですね。

 

1-3.屁理屈や人のせいにすることで自分にメリットがあったから

相談者様のお子さんは、「屁理屈を言ったり、思い通りにならないと癇癪もあります」とのことです。

ABA(応用行動分析学)(*2)では、行動には理由があると考えます。相談者様のお子さんのケースに置き換えると、癇癪をおこす理由として「屁理屈を言ったり、癇癪をおこしたりすることで、何かしらのメリットがあったから」と考えられます。

ゲームで負けたときに拗ねたり、癇癪をおこしたりすると、周りの大人が機嫌を取ろうと優しく接してくれたり、なぐさめてくれたりするなど、何かしら関わってもらうことがお子さんにとってのメリットなのかもしれません。

人は自分にメリットがあることを経験をすると、「困ったときはこうすればよい」と本能的に学びます。

そのような経験から、お子さんは不満を解消する手段として「屁理屈や癇癪」をおこしていると考えられます。

*2 ABA(応用行動分析学)とは、発達支援の現場で用いられる療育手法のこと。

 

2.屁理屈をいう子への親の対応や声がけのコツ

子どもの屁理屈は成長の証とは言っても、そのままにしておいていいというわけではありません。ここでは、屁理屈をいう子どもへの親の適切な対応方法について解説します。

 

2-1.子どもの言い分に耳を傾け、気持ちを受け入れる

まずは、子どもの気持ちを受け入れることが大切です。たとえ理不尽なことでも、子どもの言い分に最後まで耳を傾けます。そして「○○ちゃんはそう思ったんだね」と、子どもの気持ちを受け止めましょう。

大人が子どもの話にしっかりと耳を傾けることで、子どもは「ママやパパは自分のことを分かってくれる」と安心します。大人の話もきちんと聞けるようになっていきます。

 

2-2.子どもと一緒に考えてみる

子どもが落ち着いたら、「いとこのお姉ちゃん、がんばって直してくれたね。壊れちゃったのはいとこのお姉ちゃんが悪いのかな?おねえちゃん、壊そうとしてたのかな?」などと、客観的に考えられるように声掛けをしてみましょう。

「だって…おねえちゃんが悪いの!!」などと屁理屈を並べて譲らないかもしれません。そのときも子どもの言葉を受け止めてあげましょう。

すぐに答えを出すことができなくても大丈夫です。まずは考えるきっかけを与えるだけでいいのです。成長とともに少しずつ考えられるようになり、行動も落ち着いていきます。

 

2-3.子どもに適切な振る舞いを教える

子どもが困った行動を取る背景には、「他にどう振る舞えばいいのか分からない」という壁にぶつかっていることがあります。

その場合は、子どもを一方的に叱るのではなく、適切な振る舞いを教えましょう。

例)ゲームに負けて沸き起こるイライラの発散方法が分からず、叔父さんに強く当たってしまった場合

  • まずは「悔しかったね、勝ちたかったね」とお子さんの気持ちを言葉にする
  • 次に「負けて悔しい。次は勝ちたい、と言えばいいんだよ」と伝える

初めはうまくいかないこともあるかもしれませんが、繰り返し伝えることで少しずつ困った行動も減っていきます。

 

2-4.子どもが屁理屈を言ったときに避けたい対応

続いて、子どもの屁理屈や癇癪に対して親がなるべく避けたい対応を2つお伝えします。

1)話を聞かない、気持ちを否定する

話を聞いてもらえなかったり、自分の気持ちを否定されたりすると、皆さんはどのように感じるでしょうか。

「悲しい・寂しい」などネガティブな感情が湧きますよね。これは子どもも同じです。

自分の話を聞いてもらえない・否定されることが続くと、人を信用できなくなってしまうこともあります。

 

2)怒鳴る、無理やり押さえつける

親が怒鳴ると子どもは一時的におとなしくなるかもしれません。

しかし子どもの心には「怒られた」「怖かった」という気持ちしか残りません。

なぜ怒られたのかがきちんと伝わらないため、同じことを繰り返してしまうでしょう。

 

3.妹にきつく当たる理由と対処法

いただいたご相談には、妹にきつく当たる娘さんへの対応にお困りの様子も見受けられました。ここからはきょうだいの子育てで気を付けたいことについて解説します。

 

3-1.妹さんにきつく当たる理由

お子さんは、どうして妹さんにきつく当たるのでしょうか。

まず考えられるのが「単純に邪魔されたくない」という理由です。そのときは、妹さんがお姉さんの邪魔をしないように工夫しましょう。

例えば、お姉さんが何かに集中しているときは、妹さんが他のおもちゃなどで遊べるようにします。

説明が理解できる年齢であれば、「今はお姉ちゃんの邪魔をしないようにこっちで絵本を読んでようね」などと妹さんに声掛けしましょう。

他には、「妹をライバル視している」「妹にきつく当たることで、親が自分に目を向けてくれる」という理由が考えられます。

例えば、「妹にきつく当たるとお母さんに叱られる」ことがあるとします。叱られるのは嫌なことのように思うかもしれませんが、「叱られることで親が自分を見ている」と感じる子どももいます。

お子さんは「妹にお母さんを取られた」と嫉妬心を抱いており、「叱られてもいいからかまってもらいたい」と感じているのかもしれません。

 

3-2.子どもとの過ごし方を見直してみる

下の子が生まれると、上の子はどうしても待たされることが多くなります。

もしかしたら、お子さんも「自分のことをママに見てもらえなくて寂しい」と感じていることがあるかもしれません。良好な姉妹関係を築くためにも、子どもたちとの過ごし方を見直してみてはいかがでしょうか。

おすすめは「スペシャルタイムを持つこと」です。

毎日10分でもいいので、お子さんだけに時間を取りましょう。スペシャルタイムでは、家事の手は休めて、お子さんとしっかり向き合います。一緒に本を読む、お絵かきをする、お話をするなどの関わりを持ってみてください。

また、普段からこまめに声をかけるようにするのも良いでしょう。「ママはちゃんと自分のことを見てくれている」と感じられると、お子さんの安心感につながっていきます。

 

4.見守るか、注意するかのボーダーライン

子育てをする中で、見守っていてもいいのか、それとも注意すべきなのか迷うことってありますよね。

ペアレントトレーニングでは、子どもの行動を「①好ましい行動」「②好ましくない行動」「③危険な行動・許しがたい行動」に分けて、それぞれに適した対応をします。はじめに子どもの行動を分けておくことで、対応に迷うことが減りますよ。

①好ましい行動:妹におもちゃを貸したり、一緒に遊んだりする

対応のコツ:ほめることで好ましい行動を増やしていく

②好ましくない行動:癇癪をおこしたり、屁理屈を言ったりするなど人を困らせる行動

対応のコツ:何が良くないのか、適切な行動は何かを伝える

③危険な行動・許しがたい行動:自分や他人に危害を与えたり命の危険を伴ったりする行動

対応のコツ:まずはケガをしないために子どもの行動を静止させる
このとき、毅然とした態度で「いけない」と伝えることが大切です。子どもが落ち着いてから「何が良くないのか」「適切な行動は何か」を伝えましょう。

具体的な内容は、それぞれのご家庭での考え方で違ってくるかと思います。この機会に子どもの好ましくない行動について話し合っておくと、今後の対応に迷うことが少なくなりますよ。

 

5.まとめ〜ときには甘えさせることも大事です〜

相談者様は「甘やかしてるのかな?」とも感じておられるようですね。

甘えはどこまで許せばいいのか迷うところですが、子どもが甘えてきたときには甘えさせてあげるのが一番だと思います。

十分に甘えさせてあげることは、子どもの心を満たすことに繋がります。

子どもの心が満たされると子どもの気持ちにも余裕が生まれて、落ち着いてくるでしょう。

筆者も日々、子育てで悩んでいます。わが子が屁理屈を言ったときでも、「そんな風に考えたり、言葉にしたりすることができるようになった」とポジティブに捉えることで子どもの成長を感じることができるようになってきました。

子育ての悩みは尽きないものですよね。しかし、悩みが絶えないということはそれだけお子さんが成長しているということではないでしょうか。

今回の記事で、少しでも悩みが軽くなればと願っています。

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