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育てにくい子の特徴は?チェックリスト付きの具体例と対応のヒントも紹介します!

この記事を書いた人

横山ミノリ 横山ミノリ

横山ミノリ

  • 中学校教諭
  • 高等学校教諭
  • 小学校教諭
  • 児童発達支援士

小1と年少、2人の男子の母です。

ASD(自閉スペクトラム症)の長男への関わり方を学ぶため、「児童発達支援士」と「発達障害コミュニケーションサポーター」の資格を取得しました。

自身が産後うつと育児ノイローゼになった経験から”ラクに生きる”がモットーに。

子どもには「自分で決めた!」「自分でできた!」という経験をたくさんしてほしいと思っています。

子どもとの好きな遊びは工作。子育てで好きな本は、高濱正伸著の「こどもの可能性を伸ばす「しない」子育て」です。

「コミュニケーションが取りにくく、何を考えているのかわからない」「理解できない行動が多くて対応に困る」「言うとおりに動いてくれない」など、我が子の「育てにくさ」に悩んでいるママはいませんか?

育児の大変さは当然だと思うとなかなか人に相談できず、ときには「育て方が悪いのか」と自分を責めてしまうママもいるでしょう。

実際に育てにくい子はいます。ママの感じている育てにくさは勘違いではないのです。

この記事では、発達障害の長男をもつ筆者が3〜4歳の育てにくい子の特徴と、育てにくさの要因をまとめました。

よくある事例も紹介するので、お子さんにふさわしい対応を考えるときのヒントにしてみてください!

目次

 

 
 

1.育てにくさとは

子ども家庭庁が行っている「健やか親子21」という取り組みにおいて、「育てにくさ」とは、「子育てに関わる者が感じる育児上の困難感」と定義されています。

ママが子育ての中で感じている難しさや心配のことを、育てにくさというのです。

ママが我が子の育てにくさに気づいたり、感覚が確信に変わったりするのは、子どもが3〜4歳の頃が多いです。

子どもが生まれて間もない頃は、ママの育児経験も浅く、うまくいかないことも多いでしょう。

泣き止まない、寝てくれない、してほしくないことをするなど、乳児期特有の大変さは誰もが経験するものです。

しかし、子どもが3〜4歳になると、ママも育児に慣れ、子どもと意思疎通が図れるようになるため、大変さは落ち着いてくるのが一般的だからです。

また、幼稚園や保育園に入園し、集団生活を送るようになってから他の子との違いが明らかになって、ママが感じていた育てにくさが勘違いではなかったと気づくこともあるでしょう。

育てにくさを感じるからといって、我が子に申し訳ないと思ったり、ダメな親だと自分を責めたりする必要はありません。育てにくさは、何らかの支援を必要としているというママからのSOSだからです。

また、ママが困っている場面では、子どもも困っていることが多いのが現実です。

育てにくさを感じたら1人で悩まず、園の先生や、支援センター、必要ならば専門機関に相談してみてください。

適切な対応のヒントや、ママのメンタル面のサポートが受けられるでしょう。

 

2.育てにくい子の特徴とチェックリスト《3〜4歳》

ここでは、育てにくい子の特徴をシーンごとにチェックリスト*付きで紹介します。

育てにくいと感じる場面を具体的に言葉にできると、ママが子どもの様子を先生や支援センターに伝えたり、相談したりするときにも役に立つはずです。

 

2-1.コミュニケーション

◻︎ 言葉の発達が遅い

◻︎ 質問しても答えない

◻︎ 話しかけても反応しない

◻︎ おうむ返しをする

◻︎ 独り言が多い

◻︎ 自分で造った言葉を話す

 

育てにくい子には、コミュニケーションが取りづらいという特徴があり、コミュニケーションの取りづらさには、その子の言語理解や発語能力の発達が関係してきます。

また、他者への関心が薄く、自分の世界に入り込む傾向が強いのも原因の1つです。

 

2-2.社会性

◻︎ ごっこ遊びをしない

◻︎ 順番が待てない

◻︎ お友達に興味がなく一人遊びが多い

◻︎ 決まったお友達とばかり遊びたがる

◻︎ 自分の世界に入り込む

◻︎ 集団に参加することを嫌がる

◻︎ ルールが理解できない

 

育てにくい子の特徴として、社会性の発達が遅く、集団生活が難しいという点が挙げられます。

一般的に3歳頃になると、ごっこ遊びや簡単なルールのある遊びでお友達と関わる楽しさを学んでいきます。

しかし、お友達に関心がない子どもは、一人遊びが多くなるのです。お友達が近づいてきて話しかけても、反応を示さなかったり、拒否したりします。

ときには拒否反応として、お友達に手を出してしまうこともあるでしょう。

このような子どもの中には、同年代の子どもとは遊ばなくても、親や先生とは関わりをもとうとする子がいます。

大人は自分のしたいことを理解し、自分のペースに合わせてくれるので、安心感があるからです。

 

2-3.生活習慣・身の回りの自立

◻︎ 偏食がある

◻︎ 食事に時間がかかる

◻︎ 寝てくれない

◻︎ 寝つきが悪い

◻︎ 夜中に起きる

◻︎ 着替え・トイレが1人でできない

 

育てにくい子の特徴として、食事や睡眠に関して問題があるケースも少なくありません。

偏食がひどく、食べられるものがほとんどない子どももいるでしょう。偏食の原因として、感覚過敏やこだわりが関係していることが多いです。

また、睡眠に関して、夜中に泣き叫ぶ、奇声を上げるなどの様子がみられることもあります。

中には夜中に目を覚まして遊び始める子どももいるでしょう。

 

2-4.気質・行動

◻︎ 不安感が強い

◻︎ 神経質

◻︎ ママから離れられない

◻︎ 癇癪を起こす

◻︎ 突然の変更を受け入れられない

◻︎ 強いこだわりがある

◻︎ 多動

◻︎ 攻撃的な行動が多い

◻︎ 気が散りやすい

 

育てにくい子には気質的に、変化に敏感でストレスに弱いという特徴がみられます。

また、癇癪を起しやすく、他害や自傷につながるほどヒートアップしたり、落ち着くまでに時間がかかったりする子もいるでしょう。

こだわりが強いというのも大きな特徴です。

多動には、落ち着きがなく常に体を動かしている、椅子に座っていられない、急に走りだすなどの行動が含まれます。

また、自分の思い通りにいかなかったとき、やっていることを止められたときに、大人やお友達に手を出してしまう子どももいます。

 

3.育てにくさの要因

育てにくさには大きく分けて4つの要因があります。ここで紹介する要因が複数重なって、育てにくさが生まれている場合がほとんどです。

 

3-1.子どもの要因

育てにくさの要因の1つは、子どもそのものにあります。先ほど紹介したような特徴を子どもがもっていると、ママは育てにくさを感じやすいでしょう。

中でも、コミュニケーションの取りづらさは育てにくさに直結します。

意思疎通ができないと、ママの声は子どもに届かず、子どもが何を考えているのかわからないからです。手応えのない育児ほど辛いものはありませんよね。

また、子どもに偏食や睡眠障害、運動機能の発達の遅れがあると、時間をかけたサポートが必要となるので、ママの負担が増えるでしょう。

繊細な気質や、強いこだわり、感覚過敏も育てにくさにつながります。常に子どもに寄りそった配慮が必要となり、いい加減な子育てができないからです。

育てにくい子の特性が、発達障害からきている場合もあるでしょう。

 

3-2.親の要因

ママの経験不足が育てにくさの要因になっていることもあります。特に子どもが幼いときは、経験値が足りず、育てにくさを感じることがあるでしょう。

また、ママの性格が育てにくさにつながっていることもあります。

ママが心配性だったり、完璧主義だったりすると、大半の人が「まあいっか」で済ませられることをそのままにしておけないかもしれません。

うまくいかない育児で自信を無くし、育てにくさだけが目についてしまうかもしれませんね。

また、ママに時間的精神的に余裕がないことも要因になります。

ママの性格的に余裕を持ちづらかったり、お仕事が忙しくて子どもに十分向き合えなかったりする場合もあるでしょう。

育てにくさに、ママの精神疾患や発達障害が関係している可能性もあります。

 

3-3.親子の関係による要因

親子の性格や気質の違いは、育てにくさの要因となります。

例えば、何事もてきぱきとこなすママは、のんびり屋さんな子どもに対して育てにくさを感じるでしょう。

また、親の教育方針が子どもに合っていない場合も育てにくさを感じます。勉強を頑張ってほしいと思っている親は、外で遊ぶことが好きな子どもと反発し合うかもしれません。

そのほか、乳児期の愛着形成が不十分だったために育てにくさを感じる場合もあります。

愛着の形成は、スキンシップや、子どもの出すサインに親が適切に反応することで行われていきます。

親子の愛着関係が築かれていないと、子どもはママから離れられなかったり、不安や恐怖を強くもつようになったりします。逆にママに反発する子どももいるでしょう。

 

3-4.親子をとりまく環境の要因

親子が安心して過ごせない環境は、育てにくさの要因になることがあります。

例えば、家庭内のトラブルや経済的な問題で、ママが育児に専念できないことが考えられます。

また、新しい環境に慣れない、祖父母との同居、落ち着けない住環境が影響している場合もあるでしょう。

核家族の増加や、地域とのつながりが希薄になっていることも、育てにくさが生まれやすい環境の1つです。

このような環境の中では、育児のことを気軽に相談したり、頼れる人が身近にいなかったりすることが多いからです。

 

4.育てにくい子によくある事例と筆者の体験談

育てにくいなと感じる子どもの行動には、必ず意味があります。

ここでは育てにくさを感じるよくある場面と、子どもの行動の理由、対応のヒントをご紹介します。

 

4-1.お友達と遊ばない

周りの子どもが楽しそうに遊んでいると、1人で遊ぶ我が子を見て寂しい気持ちになるママもいるかもしれません。

また、子ども同士で遊ばせることができないので、ママがずっと相手をしたり、近くにいたりしなければならず大変ですよね。

子どもがお友達と遊ばないのは、お友達と関わる楽しさを知らないからかもしれません。この場合、周りの大人がお友達と楽しく遊ぶ姿を見せるのが効果的です。

最初は大人が一緒に遊んであげると、子どもは安心できますよ。

ときにはお友達との関わりの中で、嫌な思いをしたりさせたりすることもあるでしょう。マイナスな経験から学ぶのが難しい子どもが多いので、丁寧なフォローを心がけます。

子どもが多くの体験を積んで、1人でも楽しいけれど、みんなと一緒だと別の楽しさがあるということを知ってくれたら嬉しいですよね。

筆者の長男も、入園当初は全くお友達と関わろうとしませんでしたが、年長になった今では、お友達と遊んだことを楽しそうに話してくれます。

また、一人遊びができるのは長所でもあります。自分の世界観を作り出す想像力、好きなことに没頭できる集中力はその子の強みになるでしょう。

 

4-2.身の回りのことを自分でするのが難しい

まずは子どもの行動や表情をよく観察し、できない原因や、やらない理由を探してみてください。

子どもに聞くときは、「なんでできないの?」よりも、「どこが難しい?」「どうやったらできるようになるかな」などの声掛けがよいでしょう。

例えば、着替えが難しい子どもの場合、具体的にどうしたらいいのか、何から始めたらいいのかわからないのかもしれません。

その場合、上から着替える、袖は右腕から通すなど、着替える順番や流れを決めるとスムーズにいくでしょう。決めた手順を視覚化するのも効果的です。

また、他にやりたいことがあって着替えに集中できないことも考えられます。その場合は、気がそらされるものが目に入らない工夫が必要です。

今は着替えの時間、ここは着替える場所と決めてあげると、子どもも理解しやすいでしょう。本人が着脱しやすい服を選ぶのもポイントです。

こだわりや感覚過敏がある場合は、子どもの好みを優先させます。

長男の場合、私が何かを手伝うときには、最後の仕上げを本人にやってもらうことにしました。

達成感を感じやすく、やる気アップにつながりましたよ!その子に合わせたスモールステップで、小さな成功体験をたくさん積めるといいですね。

 

4-3.こだわりが強い

こだわりが強い子が求めているのは安心です。経験値が少ない子どもは、確実に安心安全だと思えるものを選択しようとするのです。

大切なのは、子どもがこだわる理由を探し、子どもの気持ちに寄り添ってあげることです。

ママを悩ませるのは、何らかの理由で子どものこだわり行動がとれないときでしょう。自分の思い通りにいかないことで、子どもが癇癪やパニックを起こすことも少なくありません。

対策としては、可能なら事前に変更を伝え、代替案を用意しておきます。家族や園の先生にこだわりを理解しておいてもらうのも大切です。

子どものこだわりに対応できないときでも、子どもの気持ちに寄り添い、限りなく安心できる方法を探せるからです。

長男の場合、登園時に、幼稚園の近くにあるビルのエレベーターに乗るというルーチンがあります。幼稚園に行く前にいつも同じ行動をすることで、心を落ち着かせているようです。

この行動が長男の安心につながると思うと、時間のかかるこだわりも受け入れやすくなりました。

こだわりが強いのは、自分の気持ちに正直であることの証拠です。

うまくいかないときの対処法や、気持ちのコントロールを身につければ、自分をしっかりともった大人に成長できるでしょう

 

5.育てにくさは育児の伸びしろ!ママと子どものペースで進んでいこう

いかがでしたか。育てにくい子の特徴に当てはまるものはありましたか?また、育てにくさの要因に心当たりはあったでしょうか。

育てにくい子の育児は、一般的な育児の何倍も大変です。それをやってきたママは本当に立派ですし、気づかないうちに育児の能力が上がっていることでしょう。

その分、身体的精神的な疲れがたまりやすいので、自分を労わってあげる時間も大切にしてくださいね。

育てにくさに気づけたということは、改善できるポイントを見つけたということです。

周りの親子と比べることなく、必要な助けを受けながら、ママと子どものペースで一歩ずつ進んでいきましょう!

 

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参考資料
・子ども家庭局母子保健課「成育基本法を踏まえた「健やか親子21(第2次)」及び関連施策について
・田村麻里子,橋本創一,秋山千枝子「育てづらさを感じている親支援のためのチェックリスト開発

 

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