
知的好奇心とは?子どもの学習意欲につながるメリットと家庭で実践できること
この記事を書いた人


多村美穂
- 保育士
元保育士のWEBライターです。
保育園勤務時は、主に0~2歳児を担当していました。
現在は、大きくなってきた子どもを見守りながら、育児・教育を中心に様々なジャンルの記事を執筆しています。
保育園にて勤務した経験や、自らの子育てを通して得た知識を、分かりやすくお伝えしていきたいです!
「知的好奇心が大切だと聞いたことはあるけど、そもそも知的好奇心が何なのか分からない」「子どもの好奇心を伸び伸びと伸ばしてあげたいけど、どんなことをすればいいか分からないと頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの時と比べて、さまざまなことが分かり始めている年長さんの子育てをしていると、こんな悩みを持つこともあるはず。
この記事では、元保育士の筆者が知的好奇心とは何か、知的好奇心を伸ばすメリットについて紹介しています。
さらにお父さん・お母さんが家庭で実践できるポイントも解説しています。
お子さまの様子と照らし合わせながら、実践できそうなポイントを見つけてみてください!
目次
1.子どもの知的好奇心には2つのタイプがある
知的好奇心とは、好奇心の中でも知的活動を動機づけるものを指します。
具体的には、「身の回りのさまざまなことに興味がある」「物の仕組みや性質を知りたい」「どうしてこの結果になったのか理由を知りたい」という気持ちのことです。
意欲を持って積極的に学び、行動する原動力が知的好奇心です。
学校でも探求学習やアクティブラーニングといった、「知識を与えられるだけ」ではなく、「自ら問題発見・解決をする能力を育む」授業が行われるようになり、現代において欠かすことのできない力であると言えます。
知的好奇心は以下の2つのタイプに分かれます。
・拡散的好奇心
・特殊的好奇心
順番に解説していきますね。
1-1.子どもの知的好奇心1:拡散的好奇心とは
拡散的好奇心とは、「新しいことやさまざまなことが知りたい」という好奇心です。
特殊的好奇心と異なり、好奇心の対象は特に決まっていないことが特徴です。
拡散的好奇心が強い子どもは、新しいことに挑戦するのが好きだったり、さまざまなことに対する興味関心が強かったりする傾向にあります。
絵本を例に取ると、ジャンルを問わず絵本を読み、新しい情報を取り入れようとするのは、拡散的好奇心の表れであると言えます。
1-2.子どもの知的好奇心2:特殊的好奇心とは
特殊的好奇心とは、「分からないことや気になることについて納得いくまで調べたい」という好奇心です。
拡散的好奇心とは異なり、好奇心の対象が決まっています。
特殊的好奇心が強い子どもは、答えが出るまでじっくり考えたり、物事を学ぶ際は徹底的に調べたいと思ったりする傾向があります。
絵本を例に取ると、同じ絵本を何度も読んで内容を深く理解しようとする行動は、特殊的好奇心の表れと言えます。
2.子どもの知的好奇心を高める4つのメリット
「これはなんだろう」と興味を持って物事に没頭していく力である知的好奇心。
この知的好奇心を高めることによる4つのメリットをご紹介します。
2-1. 学習意欲が向上する
知的好奇心が旺盛な子どもは、学習意欲も高くなると言われています。
なぜなら、知的好奇心が高くなると、「なんで?」「どうして?」という気持ちが高まり、「知る」ということに喜びを覚えるようになるからです。
知らないことを自ら学び、分からない問題を調べながら解決していく勉強は、押し付けられた勉強以上に、自分の糧になっていくでしょう。
2-2.学びのサイクルが作られる
知的好奇心が高いと、「知りたい」、「調べたい」という気持ちが生じ、知りたいことがわかるまでとことん調べ、解決することで達成感を味わうことができます。
この経験は、次の「知りたい」という意欲を高め、子どもは自ら積極的に情報を集めようとするでしょう。
積極的に行動を起こすことで、新たな発見や疑問と出会い、さらなる好奇心を育てていくという好循環を作ることにつながります。
2-3.集中して物事に取り組めるようになる
知的好奇心が高いと「自分が納得するまで調べたい」ため、興味の対象に没頭します。
小さな子どもが山手線沿線の駅名をすべて覚えていたり、大人顔負けの恐竜の知識を持っていたりする場面を見たことはありませんか?
これは、知的好奇心が働き、物事に集中した結果であるといえるでしょう。
何かに「没頭する」体験は、この先様々な課題に対して、集中して取り組む力につながっていきます。
2-4.ストレスに強くなる
知的好奇心のうち拡散的好奇心が強い場合は、新しい環境に飛び込んだ時にも「いろいろなことが知りたい」「新しいことに出会える」という気持ちが強いため、気後れしにくいという傾向があります。
小学校入学・新しい習い事など慣れないことが多い場合でも、ストレスにつぶされることなくその状況を楽しんでいくことができるでしょう。
特殊的好奇心が強い場合も「どうしてこうなったんだろう」と問題を発見・解決していこうとする傾向があります。
そのため、トラブルに直面した場合でもストレスに負けることなく立ち向かおうとするでしょう。
3.子どもの知的好奇心を高めるために家庭で実践できること
さまざまなメリットがある知的好奇心ですが、この知的好奇心を高めるためにお父さん・お母さんができることはたくさんあります!ここでは、実践方法を具体例と一緒に解説していきますね。
3-1.学習と実体験をリンクさせる
子どもの知的好奇心を高めるためには、学習と実体験をリンクさせることが重要です。
図鑑を眺めたり、テレビで見たことを実際に体験することで、
- 「知っている」
- 「調べたことは本当だった」
- 「楽しい」
- 「もっと知りたい」
と気持ちが変化していき、知的好奇心をぐんぐん育てます。
学習と実体験をリンクさせる方法はたくさんあります。
例えば
・季節の星座をで星座早見盤で見た夜、空を眺める
・動物に関するテレビを見たあとに、動物園に行く
・寒い時期、水の性質に関する本を読んだあとに、水を張ったバケツを外に置いて、氷を作る
・食べ物の図鑑で断面図を見てから、実際に野菜や果物を切ってみる
などです。
できる範囲で構いませんので、子どもの興味の対象に敏感になり、学習と実体験をリンクさせる機会を増やしてあげてくださいね。
3-2.知的好奇心を刺激するきっかけを作る
何もないところからは、知的好奇心は生まれにくいものです。
図鑑・本・ドキュメンタリー番組・楽器など、子どもの知的好奇心を刺激するアイテムを、子どもの手の届くところに揃えてあげましょう。
特に図鑑は知的好奇心を育てるためにうってつけのアイテムです。
最初は親と一緒にながめるだけでも、知的好奇心は大いに刺激されるでしょう。
読み聞かせの際に、絵本の代わりに読んであげるのもおすすめです。
興味のある分野の図鑑は、名前を読み上げるだけでも子どもは夢中になりますよ。
3-3.親も知的好奇心を持ち一緒に考えて応援する
子どもの知的好奇心を育てる上で欠かせないのは、親も知的好奇心をもつことです。
親がさまざまな物事に興味を持ち、楽しそうに熱中している姿を見せることで、子どもも自然に興味を持っていくからです。
親に共感してもらえる・親と一緒に何かをするということは、子どもにとって嬉しいことです。
その喜びが、次の好奇心やチャレンジ精神を育てていきます。
また、親に応援してもらっているという感覚は、自己肯定感を育てることにもつながります。
「長い間、集中して考えていたね」「面白いことに気が付いたね」など、プラスの言葉をたくさんかけてあげましょう。
一方で「同じことを何回も聞かないで」「そんなことしてないで、早く寝なさい」などのように、子どもの興味を遮ってしまったり、子どもの質問を拒絶してしまったりすることは、好奇心の芽をつんでしまいます。
忙しい中でもほんの少し立ち止まって、子どもの言葉に耳をかたむけてあげてください。
4.親子で一緒に楽しみながら子どもの知的好奇心を伸ばそう!
ここまで、知的好奇心の意味や、知的好奇心のメリット・知的好奇心の伸ばし方についてご紹介してきました。
知的好奇心は、これからの時代に欠かせない問題発見・解決能力を支える大切な力です。
親子でさまざまな体験を楽しみながら、子どもの知的好奇心を伸ばしてあげてください!
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参考文献
・西川一ニ 雨宮俊彦(2015)知的好奇心尺度の作成―拡散的好奇心と特殊的好奇心― 教育心理学研究 63 412-425
・文部科学省 学習指導要領「生きる力」